10日の原子力規制委員会で、川内原発の審査書が確定し、また、設置変更許可が了承されました。
1万7000件のパブリック・コメントや、専門家の指摘は、まったく無視されてしまいました。
とりわけ争点になったのは、火山審査についてでした。
火山影響評価ガイド
規制委員会が自ら定めた火山審査ガイドでは、運用期間中、施設に影響を与えるような噴火が生じる可能性が十分小さいかを問うており、もし「No」であれば、立地不適となります。また、「Yes」であっても、火山活動のモニタリングおよび火山活動の兆候を把握したときの対処方針を求めています。(右図)

しかし、火山の専門家はことごとく、火山活動の前兆現象をとらえることは困難としており、火山噴火予知連の藤井会長は明確に、下記のように述べています。

「火山リスクが低いとの規制委の判断は科学的根拠に基づいていない」


川内原発 新基準適合 噴火予知連会長が批判 (2014年9月11日、東京新聞)
https://dl.dropboxusercontent.com/u/23151586/tokyo_140911.pdf

噴火予知連会長批判_東京新聞140911


ところが、田中委員長は当日の記者会見で、「火山審査が科学を捻じ曲げておこなわれたのではないか」という記者の質問に対して、まともにはこたえませんでした。

火山審査ガイド上は、「運用期間」中に、大噴火リスクが十分低いことを確認することになっているのですが、これを「運転期間はせいぜい30年で、この間に巨大噴火はない」と言い切っています。しかし、その根拠は示されていないのです。

※運用期間は、運転期間に使用済み燃料の保管期間を加えたもの。

以下の原子力規制委員会の田中委員長記者会見の10分40秒くらいからをご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=MZbr9kJcCqk&feature=youtu.be&t=10m40s

さて、当日の放送でこの問題について、唯一報じたのが報道ステーションでした。記者会見のシーンと、火山学が専門の鹿児島大学の井村准教授の電話インタビューです。

よい報道だったと思います。

報道の中で、「火山審査ガイドを見直す予定」という報道があり、私はここだけ、あれ?そうだったのか、と思いました。

しかし、これは誤報で、報道ステーションの記者または編成側は、竜巻のガイドラインと火山ガイドラインを混同したようなのです。

原子力規制委員会はさっそく、翌日、以下のような抗議を行いました。
http://www.nsr.go.jp/news/26/09/0911.html
ポイント1:「火山の審査基準そのものを今後修正する」というのは、竜巻の審査ガイドであった点

ポイント2:「現在の科学の知見をねじ曲げて、これで審査書を出すと、これはいわゆる安全神話の復活になるということは言えないでしょうか。」という記者の質問に対して、田中委員長が、「答える必要がありますか?なさそうだからやめておきます。」とした点です。

ポイント1については、これは報ステの間違いだったようです。(しかし、一方で、火山モニタリングについての専門家会合が開かれており、ここで火山審査ガイドについても影響する議論が行われています)

ポイント2については、これは報道ステの誤報でしょうか?
再度、以下の規制委の記者会見の映像をみてください。(会見の10分40秒くらいからです、頭だししています)
https://www.youtube.com/watch?v=MZbr9kJcCqk&feature=youtu.be&t=10m40s

「わからないことをわからないとするべきであったのではないか」というロイターの浜田記者の追及に対して、田中俊一委員長は、

原子炉の運転期間中、今後、長くても30年でしょうということを私は申し上げているのですけれども、その間にはないだろうという判断をしたということ

と答えています。

※なお、火山ガイドラインで求めているのは、「運用期間中」(原子炉の運転期間に使用済み燃料の補完期間を加えたもの)での施設に影響を与える噴火の有無についてです。原子力規制委員会は、報ステの揚げ足をとるよりもまず、田中委員長の発言を修正したり、自らの審査書の誤りを修正することをすべきだと思うのですが…。

そして、なおも浜田記者は、自らも噴火はないと思うがとしつつ、「現在の科学の知見をねじ曲げて、これで審査書を出すということになると、後々の審査にも響くのではないでしょうか。それがいわゆる安全神話の復活になるということは言えないのでしょうか」と追及しました。

田中委員長は、「答える必要がありますか。なさそうだから、やめておきます」と突っぱねました。

この部分に関しては、報道ステーションの報道が間違っていたとは私には思えませんでした。

しかし、報ステはあっさりと謝ってしまいました。以下が報ステの「謝罪」の部分のニコニコ動画です。
http://nicovideo.jp/watch/sm24458408

謝るにしても、火山審査ガイドについてだけにするべきだったのではないでしょうか。

報道ステーションの報道は、基本的には、今回の審査のポイントをついたよい報道だったと思います。それなのに、報道自体を自ら否定するような謝罪をしてほしくはなかったです。

★ここからが本題★
みなさん、ぜひ報ステに激励のメッセージを送りましょう!
「委縮するな!」「報ステの報道は本質をついている!」
または、「間違っていない部分は謝るな!」


(報ステへの意見はこちらから)
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/opinion/form.html

(テレ朝への意見はこちらから)
http://www.tv-asahi.co.jp/contact/

また、原子力規制委員会に対しては、「報ステの揚げ足をとっている暇があれば、火山学者たちの意見や、多数寄せられたパブコメをもとに、川内原発の審査書を全面的に書き換えるべき」と言いたいです。
(原子力規制委員会への意見はこちらから)
https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/

以下、原子力規制を監視する市民の会のAさんが、報ステに送ったメッセージです。


9/10の原子力規制委員会の報道を9/12に「誤報」だったと訂正された部分ですが、いつも他局で反対意見をいくら無視した報道がされてもそのままなのに、こんな重箱のスミつつくような指摘で訂正放送しなきゃいけないのかと悔しいです。

竜巻ガイドと火山ガイドの件は確かに間違いかもしれませんが、実際、噴火の前兆を捉えることが可能ではない、巨大噴火の可能性が十分に小さいかどうかは言えないと専門家に言われた時点で火山ガイドは見直してしかるべきなのでは?(掲載者注:火山のモニタリングをあてにした火山ガイドの見直しもさることながら、川内原発の審査書を見直すべきでしょう。)

そして、改めて放送された田中委員長の「答え」は、完全に科学的に謝りですね。噴火の可能性が十分に小さいと判断する根拠は失われたんだから。

規制庁のHPの書き起こしも読みましたが、記者Bさんが聞いていることは非常に重要で、本来なら彼の言うとおり、「科学的には安全とは言えませんが、それでも政治的な判断として再稼働しますか」と政府にボールを投げなきゃいけないですよね。それに対して「答えるか必要がありますか。なさそうだからやめときます」とは!記者Bさんが何度聞いてもピントをはずした答えしかしなかったのは田中委員長なんだから、あそこだけ切り取られたからって一切文句言える立場じゃないはずです。

そもそも、田中委員長がいつもダラダラともって回ったしゃべり方するからテレビ的にすごく編集しにくいのではありませんか?長くしゃべっても結局内容ないし。

とにかく、原子力規制委員会が科学的にも誤りを放置したまま、パブコメも無視して審査書を決定してしまったという事実に変わりはありません

こんな細かいことにめげずに、これからも堂々と権力と戦ってください。