なぜ原発メーカーのみ免責?


報道によれば、「原子力損害の補完的補償に関する条約(CSC)」の承認案を二十九日に召集される臨時国会に提出される予定です。


メーカー免責の原発賠償条約 臨時国会に承認案 
東京新聞 2014年9月22日

本条約は、万が一原発事故がおきたときの賠償責任は全て、事故発生国の原子力事業者が負い、責任限度額(約468億円)を超えた場合、加盟各国からの拠出金により補完するという内容となっています。
 
原発メーカーは免責されることとなります。製造者責任があいまいとされ、日本の原発メーカーが、損害賠償金支払いという経営リスクを負わずに原発輸出を進めることとなります。
 
東京電力福島第一原発事故においても、原賠法(原子力損害の賠償に関する法律)による責任集中原則により、東電が一義的な賠償義務を負い、その実、「原子力損害賠償支援機構」という仕組みにより、そのツケは、消費者や納税者が負うことになってしまいました。

これを国際的にやろうというのがこの条約です。

なぜ、原発メーカーだけが、このように手厚く保護されるのでしょうか?

なぜ、そこまでして原発輸出を促進するのでしょうか?

それは、そこまで保護しないと原発ビジネスが成り立たない、すなわち、原発はそれだけ危険で、非効率な発電システムである証左です。

さらに、この条約では、損害項目が限定され、責任限度額が限定されてしまい、被害者が十分に保護されない内容となっています。

多くの人たちが故郷を失い、いまだに収束のめどがたたない福島第一原発事故。

日本が輸出するべきなのは、この反省に学び、持続可能なエネルギー構造を実現させるための知恵や仕組みや哲学ではないのでしょうか。

急遽、反対署名を呼びかけています。国会議員および政党に向け、国会で反対してくださいということを呼びかけるものです。
 
ぜひ、一人でも多くの方にこの問題を伝え、署名にご協力ください。また、地元選出の国会議員 にも反対を呼びかけて下さい。

オンライン署名フォームからの署名
Chage.orgからの署名

紙の署名用紙(PDF)

一次締め切り:9月末日
二次締め切り:10月7日
三次締め切り:10月末日 
 
呼びかけ/署名集約先:国際環境NGO FoE Japan 担当:満田
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
連絡先:XLA07655@nifty.com

<参考>
2014年8月22日付、日本弁護士連合会意見書

 以下同意見書のうち、CSC条約に関連する部分の抜粋

(1) CSC条約の概要

CSC条約は,原子力事故の発生時に,事故発生国の責任限度額(3億SDR,約468億円)を超えた場合,加盟各国の原子力設備容量及び国連分担金割合に応じて算出された補完基金を拠出し,これを提供するというものである。同条約は,①原子力事故時の損害項目を限定し,②責任限度額を超える損害額については締結各国からの拠出金により補完され,③原子力事業者のみが賠償責任を負い(責任集中),④損害賠償の除斥期間を原子力事故時から10年とし,⑤国境を超える損害発生時には損害賠償請求に関する裁判を事故発生国においてのみ行うこと(裁判管轄権の集中)を主な内容とするものである。

 今般,政府において,いまだ発効していないCSC条約への加盟の準備が進められているのは,アメリカがCSC条約を批准したことから,同条約の発効を促進し,アジア等での原発輸出を図ろうとするものである。しかも,CSC条約には,以下のとおり多くの問題がある。

(2) 損害項目の限定

CSC条約では,損害項目が「死亡又は身体の損害」,「財産の滅失又は毀損」,「経済的損失」,「回復措置費用」,「防止措置費用」に限定されており(I条(f)),これらの損害項目には,いわゆる風評被害や精神的損害(慰謝料)は含まれない可能性がある。また,「回復措置費用」及び「防止措置費用」は「権限ある当局」が承認したものに限られており,「回復措置費用」は実際に執られたか,執られる予定のものに限られるため,例えば,国が除染対策を怠っていれば賠償されないことになるおそれがある。
このように,日本法では,回復措置の有無や,権限ある当局による承認の有無にかかわらず,事故と相当因果関係にある損害が賠償範囲であるが,CSC条約締結により,原子力損害の賠償が現行法の賠償内容より狭い範囲に限定されるおそれがある。

(3) 責任限度額の設定

CSC条約の責任限度額は3億SDR(約468億円)であり(III条1項),条約の補償額は,福島第一原発事故による損害を踏まえると,到底足りない。しかも,CSC条約の責任限度額は,現行の原賠法の賠償措置額である一事業所当たり1200億円よりも相当低い金額である。
また,各国からの拠出金の合計は,2011年の試算によれば,CSC条約加盟国に日本の他,中国及び韓国を加えた場合であっても,総額約211億円ないし296億円程度であり,各国からの拠出金によっても,実際の原子力損害をカバーするものではない。
さらに,CSC条約の責任限度額を超える部分は各国の拠出金から補てんされることになっていることから,原賠法の有限責任化の議論を招くことが懸念される。

(4) 責任集中主義による原子力機器メーカーの免責

CSC条約においても責任集中主義がとられているが,福島第一原発事故の原因も未解明な中,日本の原子力機器メーカーが損害賠償責任を負わないことを利点として,損害賠償金支払いによる経営破綻のリスクを負わずに原発輸出を進めることの正当性は見い出し難い。

 (5) 短い除斥期間

CSC条約での除斥期間は原子力事故の日から10年と短い(付属書第9条第1項)。国内法でより長い除斥期間を定めている場合,「保険,その他の資金的保証又は国の基金により補填される場合」には,その期間まで延長され得るが,現在の科学的知見では,低線量被ばくによる健康被害の晩発性がほぼ判明しており,かかる遅発性,晩発性損害については民法上の20年の除斥期間(民法第724条)の改正も議論されているところである。

(6) 事故発生国に裁判管轄権を集中

他国で発生した原子力事故について,裁判管轄を原子力事故の発生国に集中させており,日本在住の原子力事故の被害者は,国内で訴訟を提起できない(XIII条)。また,準拠法は管轄裁判所の法とするため(XIV条),裁判管轄地の損害賠償法制が救済内容として不十分であった場合は,日本在住の被害者に十分に救済されないこととなる。

(7) 小括

このように,政府によるCSC条約の締結準備は,原発輸出を推進しようとする一環でなされているものであるが,原発輸出は,相手国及び周辺国に,回復不可能な人権侵害,環境問題をもたらすおそれのあるもので,行うべきでない。また,上記の条約の内容に照らし,その締結は,原子力被害者の保護に欠けることになることが危惧される。
 
(以上、日本弁護士連合会、8月22日付意見書からの抜粋)