10月20日、薩摩川内市原子力特別委員会が、川内原発に関して、再稼働を求める陳情を採択、再稼働に反対する陳情を否決しました。電光石火のできことでした。

薩摩川内市では、10月9日に川内原発の審査書の住民説明会が開催されました。
そこで発言した市民たちは10人中9人までが、明確に反対・審査書への疑問の声をあげました。
http://livedoor.blogcms.jp/blog/kannamitsuta/article/edit?id=14985498

これらの反対の声がまったく無視されてしまったのです。

さらに、抽選に漏れた少なからぬ薩摩川内市民が、各地の説明会に割り振られました。
10月20日の夜には、いちき串木野市で最後の住民説明会が行われることになっていました。
20日の採決は、いわば、このいちき串木野市での住民説明会に出席した薩摩川内市民を切り捨てるような暴挙でした。

特別委の委員たちのうち、再稼働に賛成の議員も、このことを理由に、20日に採択すべきではないという議員もいました。
再稼働に反対の議員も、「市民の代表としての議員の倫理にもとる。なぜ今日採択なのか?」と強い疑問を呈しました。

再稼働賛成派が多数を占める中、採決、すなわち再稼働の同意を意味します。ですから採決するかどうかがこの日の最大のポイントでした。おそらくこの日の朝まで、さまざまなやりとりが続いたと思われます。

私自身もこの日、薩摩川内市原子力特別委員会の傍聴人控室にて、逐一、委員会のやりとりをきいていました。
50人以上の傍聴を求める市民がつめかけましたが、委員会室の席は30席しかなく、全員の傍聴を求める市民と議会事務局の間でしょっぱなからこぜりあいとなりました。(実はスペースはあったらしいです)
ツイキャスの画像は下記からみることができます。

もめる市民vs薩摩川内市市議会事務局

 
http://twitcasting.tv/fukuroufoe_tv/movie/110313771

当日の資料はこちらになります。それぞれクリックするとPDF資料がダウンロードできます。

薩摩川内市原子力特会資料1 薩摩川内市原子力特会資料2 薩摩川内市原子力特会資料3 薩摩川内市原子力特会資料4 薩摩川内市原子力特会資料5


薩摩川内市原子力特別委員会は10名。うち、原発再稼働に反対は2名のみ。名簿はこちらになります。委員長は福元光一氏。
http://www.city.satsumasendai.lg.jp/www/contents/1370321973967/index.html

以下、私のツイート中継をもとにした状況報告です。
なお、その後判明したのですが、再稼働に反対の意見を述べている議員は、井上勝博氏および佃昌樹氏、再稼働賛成の意見をながながと述べていた議員は、川添公貴氏です。

(なお、この日、50名くらいの傍聴者がきたのですが、委員会の傍聴席は30席。スペース的にはあるので、椅子を増やせないかと市民たちが提案してみるも「ルールですので」と一点張り。傍聴を求める市民たちと議会事務局がもめました。)
薩摩川内市議会、傍聴人控え室なう。全員の傍聴を主張する民たち。多くが抽選拒否。控え室は音声のみ 

【薩摩川内市の説明会について】
薩摩川内市の説明会での最後の発言者、10人中唯一理解できたという人、推進をずっとして来た有名な人、仕込みではないかと議員。 

薩摩川内市での「説明会」。最後の一人が「仕込み」だったのではないか? アンケート項目が「理解できた」ことを誘導する恣意的なものではと、議員が質問 

アンケートの52%が「理解せず」と言う項目に○をしなかった。53%の人が「説明会に参加してよかった」。傍聴人控室からは「やらせやらせ」の声 

注)実際は、「よかった」と「まあまあよかった」合計31%です。「ふつう」もあわせて、53% 

「311鹿児島集会実行委員会」によれば、大規模な動員がなされたのではないか?とのこと。中間発表の時点で400人の申込が数日後には1300人となった。また会場付近で関係会社のバスが目撃されている。 )

「席が恣意的」。申込み順に番号をふったとのことだが、傍聴人から「え~、ウソ、ちがうよ」の声。 

【陳情の採択について】
再稼働反対の陳情が10件、再稼働推進の陳情が1件。

議員:今夜、いちき串木野市で説明会が開かれる。今日、採決するのは、市民感情的にいかがなものか。(傍聴席から、弱いよ、もっと怒れ、とのつぶやき) 

議員:保安規定も、工事計画も終了したわけではない。今日、採決さいなければならない明確な根拠はない。 

議員:法的な責任についても納得できず。小渕大臣が知事あての書簡「関係法令にもとづき適切に対処」とするが、関係法令の中に政府が責任をもつというのはない。 

別の議員:地震対策、津波対策、火山対策について、対策を議論する必要がある。そうでなければ議論したことにならない。拙速に採決することはならぬ。(傍聴者から拍手)(~これは井上議員ですね。) 

本日採択すべきという議員。別の議員は、まだ終わっていないと反対。 

ある議員:「本日の採決に反対。本日いちき串木野市で説明会が開かれる。いちき串木野市の市民の意見も尊重すべき」(「いいぞ!」の声&拍手) (こちらは佃議員ですね)

ある議員:国は誠意をもって説明をした。今日をはずして近いうちに採決すべき。 

委員長:継続審査か採決かについて、起立で決める。

起立少数。継続審査は否決。討論採決に。
(会場から「ひどい」「シナリオ通り」の声) 

【福島原発事故の視察をすべきだという陳情に関する審議】

反対意見:福島原発の建屋内には入れない。先に視察した分で十分。この陳情を否とする

賛成意見:市民アンケートによれば、10人のうち3人しか福島原発事故の現場を見ていない。この陳情の原点は、福島原発事故は今もなお進行中だということ。 

「原発政策を進めてきた人が、誰一人罪に問われず、責任をとっていない。これをなんとかすることが、再稼働より優先では」 

「再稼働することで、放射性廃棄物がでてくるが、それも解決されていない。福島で生じたのは、放出された放射性物質の問題」 

投票総数9票、賛成2反対7.反対多数で否決(「委員会の委員に福島原発事故を視察しろ」という陳情。たぶん再稼働反対の陳情は全部否決されるだろう)) 

【再稼働反対陳情について】

再稼働反対陳情について、質疑がはじまりました。薩摩川内市原子力特別委員会の傍聴人控室にて。 

ある議員「先日の説明会は、”審査書”の説明会。再稼働のサの字も出てこなかった。…この陳情に対しては、本日は採決については考えてほしい。 

ある議員「採決をお願いします。十分審議した。経産省も責任をとると言っている。薩摩川内市での説明会は終了した。十分だ。」 

別の議員「今日、いちき串木野市の説明会がある。薩摩川内市の市民も参加する。とてもではないが、再稼働について判断できる段階ではない」 

「保安規定、工事計画認可、それにもとづく規制委の検査もある。採択をすべきではない」 

起立により、継続するかどうか採決。継続審査は否決された。本日採決されます。(暴挙!との声) 

(再稼働反対陳情に対する反対討論:規制委は大幅に強化した・・・市民たちが室外にぞろぞろと )

(今度は賛成陳述ですね。議場前では、怒った市民たちが、事務局と睨み合っています。 )

(この議員さん、まっとうなこといいますね。聞いていて涙が出てきます。 )

「規制委員会の基準を満たしたからといって安全が保障されるわけではない。とても世界最高水準とはいえない。」 

「過酷事故が起これば、20分前後でメルトダウンが始まり、40分後に放射性物質が漏れ出す。対応できるかどうか、検討されていない」 

(室外では、怒った市民たちの怒号が。 )

「福島では双葉病院の避難の途中で多くの人たちが亡くなった。火山の問題もある」 

「火砕流が原発に到達する可能性は、九電も認めている。東京大学の中田節也教授が、確率的にいつおきても不思議はな合いと指摘している」 

(この議員さん、よく勉強していますね!お名前知りたいです) 

「どの世論調査をみても、再稼働反対が、賛成を上回っている」 

再稼働反対の陳情に反対している議員:ある研究では、原発を再稼働しないとGDPが減るという調査も 

議員:なぜ、今日採決するのか?今日いちき串木野市の説明会にいく市民を切り捨てるのか? 市議会は市民の付託をうけている。こんなことが許されるのか? (この議員さんは佃議員ですね)

議員:再稼働反対の理由はたくさんある。福島原発事故の現状、原発事故のリスク、避難の問題、原発のコスト、夏冬をのり越えられたこと… 

委員長:討論を終わります。採決します。採決は記名投票にて。投票札を配布します。 

(いま、再稼働に反対の陳情に対して、採決に入りました。室外では、傍聴の市民たちが怒って、「再稼働の反対」の声がひびく。 )

再稼働反対の陳情の採決。開票。 

投票結果。総数8票、棄権1、賛成2反対6、再稼働反対の陳情は否決。 

【再稼働賛成陳情について】

(いま、再稼働賛成の陳情の採択しているようです。あとは淡々と採択するのでしょうね) 

再稼働陳情に反対意見を述べている議員:再稼働したからといって経済が上向くわけではない。原発をかかえている地域はどこも疲弊している。  

11件の陳情で、唯一の再稼働を求める陳情。採決に入りました。 

(議会事務局職員が市民たちをビデオ撮影しているようです。) 

薩摩川内市議会原子力特別委員会にて、再稼働反対陳情が否決、再稼働を求める陳情が可決された。市民たちが抗議のこえを上げる只中だった。

これから鹿児島県議会と鹿児島県庁宛に、同意しないでという署名を届けに行きます。中継終了します。 

当日の模様を報じる南日本新聞、朝日新聞、毎日新聞の報道(それぞれ一部のみ)はこちらになります。

南日本新聞一面…川内再稼働に「同意」 薩摩川内市議会委 陳情を採択

南日本新聞三面…継続審議 僅差で否決

朝日新聞…攻防の末、「再稼働賛成」…薩摩川内市議会 特別委 割れた意見…知事に自重求め要請書


(満田夏花/FoE Japan)