本日から始まった鹿児島県臨時議会。再稼働に関しては、賛成1件、反対35件の陳情および3県の反対請願がだされていますが、7日も採決される見通しです。

鹿児島県臨時議会初日の午後の審議は、長い休憩のあと、15:30からはじまりました。ひとことで言って、あまりに形式的な審議に愕然
議員たちの質問に、同じ紙を繰り返し読む伊藤知事および関係部長たちの答弁。
質問に答えようとせず、国の責任のみを云々する県知事の姿勢に、原発賛否を切り離して、形骸化された自治体議会の危機を感じました。

形だけの審議で、数の議論で通してしまう気です!

ただ、自民党・公明党議員の質問からも、ここで慎重な姿勢をみせておかねば有権者の手前マズイという打算がうかがえました。「自分はがんばって慎重論をとなえたのだが…」と言い訳したいんだろうなという感じの質問内容でした。しっかりと見守っていきましょう。

かなり踏み込んだ鋭い質問もでました。たとえば火山については以下の質問(松崎まこと議員の質問)。

「巨大噴火の予測可能性について、火山学会は困難であると言っています。知事、あなたは専門家ではない。かたや九電が、巨大噴火を数十年前から予測できるとしており、かたや専門家たちが予測はできないと言っています。県民の安全を守るという観点からどちらの意見に耳を傾けるべきではないでしょうか?ご見解をおききします」

さらに、松崎議員は、避難所が危険地帯に設置されており、防災対策基本法に反している点もしっかりきいてくれました。
しかし、まともな答弁はなく、傍聴席は、騒然。
「ちゃんと答えろ!」という声が飛び交いました。(まったく同感です)

県外からも青森、福島、東京などからみなさんが傍聴されています。
とりわけ、鹿児島県の知り合いに傍聴を呼びかけてください

以下、全般的なご報告です。

質疑者は以下の5人。
与力雄議員(自民)、青木寛議員(県民連合)、成尾信春議員(公明党)、松崎真琴議員(共産党)、下鶴隆央議員(無所属)

以下簡単なポイントです。○が質問、⇒が回答、※がコメントです。
(なお、一問一答式ではなく、10個くらいの質問を議員がしてから知事⇒担当部
長舘という具合に応えるので、全然議論になっていませんでした)

○ほぼすべての議員:なぜ川内原発の判断にあたり、現時点で臨時会を招集したのか、なぜそこまで急ぐのか? 臨時会の招集の法的根拠は何なのか?

⇒すでに原子力規制委員会が、「世界最高水準の規制基準」に基づく適合性審査を行い、設置変更許可を出していること、経産大臣も鹿児島を訪問し、原発の必要性について説明し、「万が一のときは国が関連法令に基づき適切な処置をとる」と述べていること、薩摩川内市議会・市長が同意をしたこと、

※判で押したように、同じ答弁を読み上げていました。
※そもそも、陳情・請願の採決については、県議会が決めることであり、県知事が招集する議会で陳情・請願を採択する法的根拠は?と青木議員が問うていましたが、いやいやそれは県議会が自らの判断でやるんでしょという答弁でした。

○県民の理解が得られたのか? 住民への説明会の評価は? 不安を訴える住民への対策は?

⇒避難計画については、30km圏内自治体で25回、審査書については県内5箇所、それに加えて、要望の多かった避難計画およびエネルギー基本計画についての説明会を日置市でやった。丁寧に質問してもらった。
参加者アンケートで、「理解していない」という項目にマルを付けた人は3割くらい。つまり概ね理解されたという認識。

※「理解をえる」(≒了解してもらう)という日本語と、「理解する」(≒話している内容がわかる)という日本語を、意図的に混同してつかっています。

※そもそも、原子炉は難しいから住民に理解するのは難しいでしょ?というような傲慢な姿勢が、本当に許せないと思いました。説明会をたくさんしたかもしれませんが、それでよいという話ではなく、そこででた意見をすべて無視して、よくもまあこんなことを。(怒)

※そもそもアンケートがインチキすぎです。

○医療機関および社会福祉施設の作成状況。「原子力防災・避難施設等調整システム」の具体的運用・実効性確保策は?(自民党の与議員など)

⇒10km圏内終了。10圏外についてはシステムを整備する。訓練を通じて実効性を高めていく。

○原発事故が万が一発生した場合の政府と知事の具体的責任の果たし方。

⇒福島原発事故の反省に基づき、「世界一厳しいレベル」の規制基準をつくっている。事故が起こった場合、一義的には事業者が責任を負う。また、関係法令に基づき、政府が対処する。

○同意の範囲

⇒歴史的経緯を踏まえ、原発立地の責任と負担を負ってきた薩摩川内市と鹿児島県が同意すればよい。

○火山学会の提言について(公明党の成尾議員、共産党の松崎議員)

⇒巨大噴火が生じた時の観測体制について、国が整えるべきとの学会提言については承知している。原子力規制委員会がしかるべき対処を行う。

※議員たちは、かなり具体的に火山学会の石原委員長が述べたことをあげて質問したのですが、全然スルーされてしまいました。

○川内原発の使用済み核燃料は、鹿児島県で受け入れ続けるのか?青森の再処理施設の完成時期は、21回目の延期となったが?
(県民連合の青木議員)
⇒国が責任をもって 考える。

○UPZ県内の自治体に対する財政支援について、電源三法交付金をはじめとする制度強化を図るように国に要請する考えはないか。(自民党の与議員、無所属の下鶴議員)

⇒現在も交付金をつかって原子力防災体制の充実をはかっているが、今後も国が責任をもって、云々。

陳情・請願は、明日、原子力安全対策等特別委員会にかけられます。
報告は、大体以上です。

終了後の報告集会については、FFTVでツイキャスしました。


<鹿児島県議会議員ファックスリスト>下記のページの下の方です。

<初日の午前中の報告>
【速報】鹿児島県臨時議会初日~正副両議長の不信任案否決/自民党県議に声を!

<参考報道>
原発審査基準見直し要請 火山学会委「川内の適合も疑問」
(11月3日、西日本新聞)

<参考情報>
川内原発の避難計画は違法!~鹿児島県議会議長・県知事宛に要請書提出

鹿児島県庁・県議会に要請書~日本火山学会の提言を尊重し、警告を重く受け止め、川内原発の再稼働に同意しないこと